鏡の国のソナタ

泣かないと誓ったあの日から、本当に一度も泣かずに今日まできた。

泣き虫だった自分が、よくがんばれたと我ながら感心するほど、根性が入っていた。

でも、もう、いい。

がんばったから、いい。

悔いはない。

「素奈多……」

懐かしい声に呼びかけられて、素奈多はハッとして目を開けた。

あわてて、掌で頬の涙を拭う。

クランが、目の前に立っていた。

「あの、さ……」

言いにくそうに、クランは言葉を濁す。