鏡の国のソナタ

――ばか……。なんで平気な顔してんのよ……。

素奈多は、不安になってうつむいた。

もしかしたら、すっかり忘れ去られてしまったのは自分のほうなのではないかと思った。

過去の幼い恋に縛られているのは、自分だけなのかもしれないと思うと、急に不安になった。

廊下の向こうから金髪のグラマラスな女性が歩いてきた。

「ハイ! クラン。今夜、楽しみにしてるわ」

いきなりな台詞に、素奈多はドキッとして思わず立ち止まった。