鏡の国のソナタ

「先輩、クランは、どうなったんですか?」

九嵐は、素奈多の視線から逃れるようにゆっくりと首を横に振った。

それは、彼がもう生きてはいないということか……。

――クラン!

みるみる、素奈多の瞳に涙が溢れる。

素奈多は震える声で言った。

「……会わせてください」

九嵐は、かぶりを振る。

「それはできない」

「会ってお別れ言うくらい、いいでしょう?」