鏡の国のソナタ

「気分はどう?」

九嵐は、右手を白衣のポケットにつっこんだまま、静かに訊いた。

いつか事故で運び込まれたときのような、優しいまなざしだった。

「先輩……」

素奈多は、かすれた声で言った。

「あたし、大騒ぎして、みんなに迷惑かけて……。ほんとうに、ごめんなさい」

九嵐は、優しく微笑みながらベッドサイドへ歩み寄った。