そのとき、ノックの音が素奈多の耳に響いた。
溶けて流れてしまいたいと思っていても、耳はちゃんと聞こえるのだ。
素奈多は、目を覆った手をどけて、戸口に視線を寄せた。
白衣を着た男が静かに入ってきた。
佐藤九嵐だった。
この先輩にあこがれてあこがれて、猛勉強をしてここの大学の付属高校に入学したのは、遠い昔の出来事のようだった。
毎日毎日、夢の中でさえ、想い続けた先輩だった。
溶けて流れてしまいたいと思っていても、耳はちゃんと聞こえるのだ。
素奈多は、目を覆った手をどけて、戸口に視線を寄せた。
白衣を着た男が静かに入ってきた。
佐藤九嵐だった。
この先輩にあこがれてあこがれて、猛勉強をしてここの大学の付属高校に入学したのは、遠い昔の出来事のようだった。
毎日毎日、夢の中でさえ、想い続けた先輩だった。


