鏡の国のソナタ

素奈多は、両手の甲を目にもっていった。

手で隠した瞳から涙があふれ頬を伝う。

わあわあ泣きわめきたい心境に反して、ただ、とめどなく涙が流れるだけだった。

誰も見ていないのに、なんで、こんなに静かに泣くんだろうと思った。

泣き叫ぶにもパワーが必要なのだ。

完全に、ノックアウトされた気分だった。

自分の力ではどうしようもない、巨大な壁に正面からブチ当たって、粉々に砕け散った感じだった。