「うわっ! き、きみは……?」

四年の田中は、驚いてのけぞった。

「高等部二年の鈴木素奈多です。三年前に事故で入院して、九嵐先輩にお世話になりました」

素奈多は、まっすぐに九嵐を見て、挑みかかるような勢いで言い放った。

突然、乱入してきた少女の剣幕に圧倒されて、九嵐は曖昧な返事を返す。

「あ、ああ、そう……」

その九嵐の反応で、彼が三年前の外科実習のときのことなどなにも覚えてないことを、素奈多は思い知った。