素奈多は、学校から片道二時間半かかる実家からの通学を断念し、都内にマンションを借りていた。

学校まで徒歩で二十分という至便なロケーションである。

一人暮らしは寂しいけれど、ちょっぴり大人になったような気分だ。

素奈多は机の上に予習の教科書を開いたまま、物思いにふけっていた。



机の上には、コルクの栓をした小瓶が置かれている。

それは、素奈多の宝物だった。