素奈多は、目の高さまで卵を掲げ、昨日、パカッと割れたあたりをマジマジと観察した。

しかし、二つに割れていた痕跡は、ぜんぜんなかった。

「これね、昨日、拾ったの。先輩の研究室のゴミから」

「だいじょぶなの? 勝手に持ってきちゃって……」

「うーん……」

素奈多は、目を寄せて卵を見つめながら低く唸った。

なにしろ謎のアヤシイ物体だ。

しかも、回収されるはずの医療廃棄物。

だいじょぶじゃなかったらどうしよう……と、ちらりと胸に不安がよぎった。