「あのさ、なんにもなかったわけ?」

「ああ、おでこにちゅ~はした……らしい」

「お・で・こ?」

花南は、がっくりと肩を落とした。

「もう……。そんな可愛いこと言ってると、あたしが彼のこと誘惑しちゃうよ?」

素奈多は、一瞬、顔色を変えて花南を見る。

花南は、ふふんと鼻先で笑うと、ピンク色の唇をぺろりと舌でしめらせた。

「実は、昨日、誘ったんだけど……。断られちゃった」