「九嵐先輩の髪の毛がね、ライトに透けて天使の羽みたいだったんだからぁ」

素奈多は、箸を振り回しながら何十回目かの昔話を親友に聞かせていた。

慣れているので、花南はせっせと弁当を食べながらクールな調子で言った。

「まあ、先輩を追って、ここの付属に合格したあんたの根性は、見上げたものよ」


この学校は首都圏近郊でも屈指の有名私立だ。

高等部からの入学は、特に狭き門と言われている。


「でも、先輩は大人で、あんたに優しくしてくれたのはお仕事。少しは現実を見なさいね」