クランは、笑顔で振り返った。

「あ? なにが?」

素奈多はカウンターから身を乗り出す。

「なんか、具合悪そうだった」

クランは、フライパンを豪快に振った。

 目玉焼きが空中でひっくり返って、フライパンに落ちた。

「あ、両面焼き……」

素奈多が思わず指を指す。

クランは、あー……という顔をしてひっくり返った目玉焼きに視線を落とし、素奈多の顔色をうかがうように振り返った。