「痛いよ~。おかあさん……おかあさ……ん」

素奈多は赤ん坊のように泣きじゃくった。

そんな素奈多の母を求めてさまよう手を、グッと握りしめてくれた大きな手があった。


「大丈夫。安心して。すぐに痛くなくなるから」

耳をくすぐるような、優しい声だった。

それは父の声でも母の声でもなかったけれど、とても心強い、暖かい声だった。

素奈多は涙でうるむ瞳を開け、声の主を捜した。