救急車のサイレンが、ひどく耳障りだった。

いつまでたっても音が遠くならないので不思議だなと思っていたら、素奈多は、自分が怪我をして救急車に乗せられていることに気がついた。

点滴の管を刺されて、ジンジンする足をぐいっと引っ張られて、素奈多はぽろぽろと涙をこぼした。

体の痛みよりも、白い服を着て難しい顔をしているおじさんが怖くて、周りをとりまく無機質な機械が怖くて、素奈多は泣き続けた。



やがて、救急車は病院に着いて、ストレッチャーで病院の廊下を走った。

横になったまま運ばれるのは、変な気持ちだ。

ほっぺたに、ぬるい風を感じるのが唯一の触感で、あとは天井のライトが続いているだけ。