鏡の国のソナタ

ソファにしなだれかかっている素奈多の目の前に、ドンと、フライパンが置かれた。

驚いて身を起こすと、フライパンの上で具だくさんの焼きそばが湯気をあげている。

食欲をそそる美味しそうな匂いが漂ってきた。

「悪かった。食え」

しゃがみこんで素奈多と目線を合わせると、クランはぶっきらぼうに言った。

ぐいと、長い箸を差し出す。

素奈多は、差し出された長い菜箸とフローリングの床に直置きされた熱いフライパンをかわるがわる見比べた。