「『おはよぉぉぉぉぉーーっ!』」

「おはよー」
「真琴がこんなギリギリに来るなんてっ」
「あともう少しでアウトだったねー」
「もぅチャイムなるよ、早く座りなー」
と、みんなが口々に挨拶を返してくれる。

しかし今このA組のドアの前に妖怪、塗壁(ぬりかべ)がいるのがわかる。
実際目には見えないがものすごいオーラを放ってこちらを睨んでいる…気がする。
みんながなんで入ってこないの?と不思議そうに見ている。
私だって入りたいよ!でもさ!なんかいるんだもの!
塗壁はものすごく頑固なのでなかなかどいてくれない。
仕方がなく廊下に置いてあるホウキを持ってきてドアの下の方を突く。
すると塗壁が大きな音を立てて後ろに倒れる。
と言ってもその音は私にしか聞こえていないのだが。


『朝から邪魔しないでくれよー』
困るじゃないか、と塗壁に言う。塗壁はこちらをガン見しながら何処かへ去っていった。


「え、何!今何がいたの?!」
「妖怪に邪魔される志月ワロタw」
「ちょっと、大丈夫なの?!」
クラスのみんなが一気に質問をしてくる。
みんな私が「視える」っていうことを知っている。
知ってもなお私に仲良くしてくれている。
ここの学校の奴らは本当にいいやつばかりだ。泣いちゃうよ。

私は、塗壁がいた事をみんなに伝えていると
チャイムが鳴った。それと同時に先生が入ってくる。

「志月…早く座りなさい。」
『は…はい。』

少し微妙な空気が流れる。
そんなことはお構いなしに雑鬼達が教室の中で走り回って遊んでいる。
楽しそう…と思いながら私は席に座る。

あーぁ授業とか面倒くさいな、と思いながら学校が始まる。