「おお!十六夜様っ、目覚めましたかな、さすがですぞ!」



本当に嬉しそうに笑った雁蔵に十六夜ははっとして泣きそうな顔になった


「…赤ちゃんは、どうなりましたか?」


天堂と雁蔵は笑いあって十六夜が安心し、嬉しがることを告げた



「十六夜様が必死に妖力を注いでいたお陰での、何ともないわいっ、元気元気じゃ!後は十六夜様が産むだけですぞ!」


それを聞いて十六夜はあの悪夢から解放された、と実感できて涙が次々に溢れてきた


「…ふっ、…」


「…よく頑張ったな、もう安心していい」


天堂が十六夜の肩をぽんぽんとしていると雁蔵が診察すると言うので場所を譲った



「……ん~、大丈夫じゃ。直産まれる!」




今日も泊まらせてもらうからの、と告げて鼻唄を歌いながら出て行った



「よかったな、初産だし…怖いか?」


不安そうな十六夜の手を握る天堂



「……ううん、雁蔵さんやあなた、皆も居てくれるから」


「あぁ、傍に居るからな」


その言葉に励まされてどんな痛みでも耐えられると思った



頑張るからあなたも元気で産まれてきてね――