「どうしたの?」


そう聞いても何かを考えているのか、聞こえていないのか…ずっと桜李の頭を撫でていた


十六夜は胸元の着流しをくいくい、と引っ張って気をひかせた



「ん?」


ようやく胸元に寄りかかっている十六夜を見下ろした。十六夜は天堂の目を見て微笑んだ



「あなた一人の子じゃない。私とあなた、二人の子でしょ?前にそう言ってくれたじゃない…その時の言葉、よく覚えてる…」



「そうじゃな…ありがとよ」



十六夜を抱き締めて口づける。だんだんと深くなっていくそれに二人は、このまま…と考えていると




「ふぎゃー!…おぎゃあ!」




桜李の夜泣きが始まった。十六夜はすぐに桜李を抱っこしてゆりかごのように揺らしてあやしていた





「おいおい、そこまで守らなくてもいいじゃねぇか…」




頭を掻いて項垂れる天堂に桜李をあやしながら十六夜は笑った






…そんな三人の傍には桜李のお気に入りである、でんでん太鼓が転がっていた