森の人

「こんな巨大な物が、一体、何匹いるというの?」

サヤカのその言葉に、全員が恐怖に包まれた。

「に、逃げよう」

澤山が言った。

「一体、どこへ?」

と、拓也。

「何がいるのか、何が起こるのかも分からない森に入るより、ここにいる方が安全だ」

「ここにいてどうするのよ?空洞の奥で息を潜めて、獣の攻撃に怯える日々を送れとでもいうの?」

サヤカが言う。

「でも、キノコを食べるんなら、人は襲わないんじゃ…。きっと、巨大なだけで、おとなしいかもしれないわ」

最悪の恐怖から逃れたい茜。

『命の危険はない』

そう思わずにはいられないのだろう。

しかし茜のそれとは裏腹に、拓也は最悪の可能性を口にする。

「それは分からない。何せ得体の知れない生き物だから」
「もし、肉食だったら…」

誰もがその後に続く、最悪の恐怖を考えた。

しかし、誰もそれを口にすることは出来なかった。