森の人

揺られること20分。

道は、駅前の舗装された道から、ジャリ道続く田舎道へと変わり、ついには、連続急カーブの山道。

「うっ…」

顔面蒼白の澤山。

「ちょっ、ちょっと、大丈夫?茂君」

ジャリ道での激しい揺れの後に、連続急カーブ…

無理もない。


「着いたわよ」

拓也に支えながら、何とかバスを降りる澤山。
降りたとたん、すぐ様、道の脇にしゃがみ込んだ。

「大丈夫か?」

背中をさする拓也。

「うん」

はっきりと答える澤山。
その口調から、だいぶん、楽になったようだ。

「ねぇ、大丈夫?」

運賃を払い終えた茜も、拓也と一緒に、澤山の背中をさする。

「あ、ありがとう。もう大丈夫だよ」

そう言って元気よく立ち上がり、笑顔を見せる澤山。

「じゃあ、行こっか」

ふれあい牧場へと歩きだした。