「…あ、亜紀、見てみ」 「あ、桜」 ふわりと舞い上がった桜に いつだったか、 大切な思いがこみ上げる。 確か、俺はその時は一人で見上げていた。 だけど、今は…。 「ほーんと、あなたのパパは桜が好きねぇ」 お腹に手を当てる亜紀をそっと引き寄せた。 「ママとパパが出会ったきっかけだからなぁ」 大切な人が、隣に居てくれる。