「え………?」


「前にも言いましたが、貴女は女性なのですから、むやみに男のまね事をするものではないと言っているのです。」


「ですが、着物を借りっぱなしというのも、気が引けますし、それに……この方が、動きやすいのです。」


「なるほど……。それで、先程以蔵と一緒にいたのですね。」


「!」


「剣の腕を磨き、何かに打ち込めるということは良いことです。その方が気が紛れていい。だが、以蔵と稽古するのはやめておきなさい。君には危険すぎる。」


「………。」


「その代わりに僕が教えましょう。」


「え……!」


「せっかく、刀が扱えるのに腕を鈍らしてはもったいないですからね。」


「……ありがとうございます!」


「では、行きましょう。龍馬達が待っている。」


「はい!」


また、武市から剣を習うことが出来る。願ってもないことだった。







広間へ行き、皆で朝食を食べる。


朝食には当然以蔵の姿もある。だが、以蔵は今朝のことを何も言わずに黙々と食べている。


「………。」


「今日はわしらは薩摩藩邸の方へ行ってくるぜよ。」


「大久保さんか?」


「ああ!西郷さんと話しをつけてくれるそうじゃ!その話し合いぜよ!」


嬉しそうにニコニコしながら、龍馬が話す。どうやら仕事は順調に進んでいるようだ。


「そうか。」


「武市は例の件を頼むぜよ。……と、白鳴?その格好はどげんしたとじゃ!?」


「?」


龍馬は白鳴の姿を見るなり、確かめるように近づいで来る。


「やっぱりじゃ!なぜ、こげな着物をきちゅう!?せっかく、着物を誂えたというに……。」


「え………?」


「やっぱり、あの着物は気に入らんかったんか…?それとも、武市に何か言われたんか?」


「な、なぜ そこで僕が出てくるのだ?」


「武市が言わんで誰がそげな事を言う?白鳴さんはあっちの方が、可愛いのにのう……。」


ガックリと肩を落とす龍馬。


つまり、あの着物は女将さんが用意したものではなく、龍馬達が誂えたものらしい。

やはり、違和感丸出しのようだ。なんだか龍馬に悪い気がしてきた。


「龍馬さんが気にすることはありません。私が好きでこの格好をしているんです。だから、そんなに気をおとなさいで下さい。また、機会があったらあの着物を着させていただきます。」


「……白鳴さん。」