体制を整え直すと同時に、白鳴が部屋の中へと入って来る。


「………。」


武市の前に正座して座る白鳴。まったくもって芯の強い娘だ。


武市も白鳴の方に向き直る。


「どうして呼ばれたのか、分かりますか?」


「何の成果も出せなかったからです。」


「……それもあるが、君は女子だ。そのようなことはそもそも期待していない。僕が言いたいのは、そこではない。」


「………。」


「君は女子なのに、なぜわざわざ火の中の栗を拾おうとする?その結果、どういうことになるのか、分かっているのですか?」


「お世話になっているからです。」


「……?」


「私が受けた恩を思えば、あれくらいして当然だと思ったのです。」


「だからと言って、浪士組相手に刀で立ち向かおうなどと、考えるものではない。もし、万が一があったらどうするのですか?君はもっと、自分が女子なのだということを自覚したほうがいい。でないと、もっと大変なことになりかねない。」


もとより、承知していることだ。刀を握った瞬間から、女ではなく男のように扱われることを覚悟し、そう望んでいた。


しかし、いくら役に立ちたくとも、所詮白鳴の立場は、ただの迷子の居候にしかすぎないのだ。


だから、武市も心配して、あんなに怒っていたのに、捜しに来てくれたのだ。よく見ると、武市の着物の裾が少し汚れていた。


いつもキチンと着物を着こなす武市には、有り得ないことだ。それ程までに心配して、危険を顧みずに、あちこちと捜しまわってくれたのだ。


あの時、武市が来ていなかったら、確実に斬りあいになって、どっちかが倒れていただろう。


「………はい、すみませんでした。」


「それから、恩など感じる必要はない。君をここに置くと決めたのは、君ではなく僕達なのだからな。」


「………。」


「もう、浪士組に一人で立ち向かうなどと、無茶はしないように。」


「はい。」


「……分かれば、それでいい。では、罰を受けてもらいましょう。」


「はい……。」


「布団を敷いて下さい。」


「………え?」


「もう、休みたいから、布団を敷いてもらえますか?」


「そ、それが罰ですか?」


「嫌なら、別に良いのですが。」


罰だというから、かなりきついことをさせられると思っていたが、意外にも簡単な内容で、逆におどろいてしまう。