突然、町からいなくなり、心配しているかもしれない高杉。


迷子の子供を助けるように、手を差し延べてくれた龍馬。


自分のことを忘れていても、なんだかんだと助けようとしてくれた武市。


例え迷い子として扱われようとも、共にいれることが嬉しくもあった……。


だが、彼らがただの迷い子のために、心配して捜すとは思えない、きっと今頃は、国に帰ったと思われているのだろう。


「………。」


白鳴は夜空を見上げた。


帰る場所なんてない。


ただ、彼らの役に立ちたいだけ。


そんな白鳴の横顔を、沖田は黙って見ていた。


すると、何かを思いついたように、白鳴の手を取る。


「……!」


「おいで。」


沖田に手を引かれ、その後ろをついて行く。


長い廊下を歩いて行き、広い境内へと案内される。


「……!」


広々としていて人気もなく、澄み渡っている。


石垣が月明かりで、ボンヤリと光っていた。


「こうして見ると結構いい場所でしょう?」


「………はい。」


二人はしばらくの間、境内の様子を見ていた。









白鳴の考えとは裏腹に、武市達は白鳴の行方を捜し続けていた。


「………。」


すでに白鳴がいなくなって、だいぶ時が経つけれども、捜しに行かせた以蔵からも薩摩藩からも、見つかったとの連絡が入っていない。


【寺田屋】は重い空気に包まれていた。


「……あの娘は見つかったか?」


先に話しを切り出したのは龍馬だった。あれから、龍馬は仕切りにソワソワしたり、窓辺から外の様子を覗いたりしていた。


「いえ、まだです。」


中岡もまた、町に出たりして、白鳴らしき人影を探し回るっていた。


「………。」


武市はただ、黙ってその時を待っていた。


「……まさか、本当に浪士組に捕まったたんじゃなかろうか?」


これだけ捜しても白鳴の行方は全く掴めない。もし、国に帰ったとかなら、なんらかの形で連絡が来るはずだ。


浪士組に捕まった可能性が高い。


「…………。」


「……もし、尋問部屋に閉じ込められているのなら、連絡も途絶えるのも無理がないぜよ。」


「………。」


龍馬は横に置いてあった武器を装備し始める。


「龍馬さん、いったい何処へ行くつもりですか?」


「浪士組の屯所に行ってくるぜよ!あの娘を助け出すんじゃ!もう、待ってはおられん…!」