「別にそんなんじゃねぇよ。ただ、間者じゃないにしては、話しがうますぎると思っただけだ。」


「ただの女の子に間者なんて出来ませんよ。それに、あんなバレバレの男装なんかしても、仕事になんないんじゃないかな?」


クスクスと笑う沖田。


話しは上手すぎるが、沖田の言うように、彼女が間者である可能性は低い。例え、坂本の仲間だとしても、知っている情報はないに近いだろう。


「総司、不穏な動きがあれば斬れ。女でもその気があれば、出来ることがあるかも知れねぇからな。」


「はいはい。じゃあ、行ってきますよ。」


沖田は部屋を出て行った。


まさかとは思ったが、本当に白鳴だとは思わなかった。


旅回りの役者……。確かに上手いことを話している。クスクスと笑う沖田。


とりあえずは土方から解放された。沖田は白鳴が連れて行かれた部屋へと向かった。







白鳴は人目に付きにくい隅の部屋へと連れて行かれていた。


「一応、ここがお前の部屋だ。悪いな、こんな所に押し込めちまって。」


「いえ……。」


「明日には放免されるよう俺から土方さんに言っとくから。」


「………あの浪士組はなんで、坂本さんを捕まえようとしているんですか?」


「え……?」


ここまで疑われるのだ。よっぽどの理由がない限り、ここまではしないはずだ。


「それは……なんつうか……その……。」


「上からの命令だよ。」


「!」


「総司!お前なんでここに……!?」


「僕もこの子の監視役に回されちゃったんだ。ほら、早く縄を解いてあげないと、跡がついちゃう。」


「………!」


沖田の指先が触れ、縛られていた縄が解かれていく。


「とりあえず今日は大人しくしといた方がいいよ。まだ、警戒されてるからね。」


「でも土方さんもひでぇよな!間者じゃないなら、放免してくれてもいいのにさ!」


「仕方ないんじゃない?芝居のためとはいえ、女の子が男装をしてたんじゃあ、疑われても文句は言えないよ。」


「それにしたってさ……。」


「そうやって文句言ってる暇があるのなら、隊士達をしつけて来たらどうなの?また、無関係の人を巻き込みかねないよ?」


「それもそうだな。そういえば、もうすぐ晩飯の時間だな!ちょっと見てくる!」


元気よく出て行った平助を見送り、部屋には沖田と白鳴が残された。