だが、今はそんなことはどうでもいい。


平助と共にその場に座る。


「……なんだそいつは?」


「隊士が坂本達の間者と間違えて、捕まえて来た。」


「またか…!で、証拠はあるのか?」


「証拠?」


「そいつが間者でない証拠だ。」


「こいつはこんな格好をしてはいるが、女だ。女が間者なんて出来るはずがない。」

確かに女であれば、平助が言っていたように人違いっていうのはある。


だが、白鳴は男の格好をしている。そんなに簡単に解ける話ではない。


「……で、お前はなんで下手な男装をしているんだ?」


「………!」


あ………。


やっぱり下手なんだ……。土方にも平助にも一発でばれてしまった。


でも、今はそんなことにかまってはいられない。さっきから嫌な汗が出て止まらない。


土方の鋭い目つきが白鳴を居抜く。


なんとかして、誤解を解かなくてはならない……。


ふと、武市達に会った時のことを思い出す。あの時男装を同じように看破された時、芝居じゃあるまいし…!と思ったことを思い出す。


芸者にしてしまえば、脱出出来るかもしれない……!


「……芝居……芝居の衣装なんです。」


「芝居……!?」


「はい、私は旅回りの一座の者で、今度やる劇の衣装を着て歩いていたんです。」


「……そんな話し聞いてねぇけどな。で、何処の劇団だ?」


「そ、それは………。」


「嘘か?」


「う、嘘ではありません…!本当のことです。」


「なら、なんで言えねぇんだ?自分の劇団の名前ぐらい言えるだろうが?」


「もう、その辺にしといてやれよ土方さん!そんな風に言われたら、言えるものも言えなくなるじゃん…!それに相手は女なんだぞ!?」


「間者だと思うんなら、泳がせてみればいいんじゃありませんか?」


「総司!」


「!」


そこには、あの沖田がいた。


チラリと沖田は白鳴を見てから、壁側に座った。


「いつから聞いていた。」


「嫌だな。そんな顔しないで下さいよ。ますます怯えちゃってますよこの子。」


今度はちゃんと白鳴の方を見る。どうやら沖田は白鳴を助けようとしているようだ。


「……仕方がねぇ。とりあえず、疑いが晴れるまで部屋に閉じ込めておけ。」


「分かった。」


白鳴は平助に連れられ、部屋を出て行った。


「あれ、ご不満なんですか土方さん?」