「………すみませんでした。でも、どうしても、この目で見て確かめたかったのです。仲間を信じる力を、そして仲間を思う力を……!」


「…………。」


「あの方は、ずっと友人が戻って来るのを信頼して待っていました。そして、その友人の方も、その方が戻って来れるように、最善を尽くしていた……。余程信頼していなかったら出来なかったことです。それを直に見たかったのです。」


「………。」


それは武市と自分のことを言っているのだろう。


武市がどんな思いであの時、白鳴に言ったのか、そして、今もそれを望んでいるのか、白鳴は自分なりに考えていたのだ。


そして、それに対する覚悟も……。



「……お前が考えてしたことなら、私は何も言いません。だけど、ここにいる限りは、そんな勝手な真似は許されない。それは、分かっているね?」


「……はい。」


「今日の稽古には出なくていい。部屋で謹慎していなさい。」


「はい……。」


白鳴は自分の部屋へと戻って行った。


白鳴がいなくなったのを確認すると、明美は押し入れの奥から、大切にしまっていた物を取り出す。


誰からも見つからないように、大切に保管していた刀……。


いつか、これを手にして、白鳴が再び立ち上がる時、この刀を渡すようにと、武市から言われていた。


それは戦う道を白鳴が選ぶということだ。

そして、それを決めるのは白鳴自身。誰もその選択を止めることは出来ない。


そうならないように、願って来たが、ここで暮らすのも、決して楽な道ではない。


「……武市さん。」


刀を握りしめ、思う人の名前を呼んだが、返ってくる返事はなかった。








部屋に戻った白鳴は、明美に言われた通りに、部屋で大人しくしていた。


明美は白鳴がいなくなった理由を分かっていた。


だが、これは誰にも言えない秘密であり、自分自身で決めることであった。


武市と別れてから、明美のもとで修業をし、いろいろなことがあったが、なんとかここまで生きてこれた。


しかし、もうすぐその選択が迫られる。



武市がもし、永倉と同じ気持ちであったなら、白鳴が帰って来るのを待っているはずだ。


たとえ、それが歓迎されるものでなくても、武市は仲間として、白鳴を受け入れてくれるだろう……。


あくまでも予想しか出来ないが、もしそうなら、行くしかない。