そんな新見を無視して、丁寧に頭を下げて白鳴を見る山南。


「怖がらせてすみませんね。さあ、中へどうぞ。」


山南は白鳴を屯所の中に通し、自分の部屋に案内をする。


部屋の中に入るが藤堂らしき人影がない。


「あの。」


「すみませんね、隊規上女性を招き入れるわけにはいなかいので、特別に私の部屋でお話をさせていただきます。それで、貴女のようなお嬢さんが、なぜこのような場所へ来たのですか?」


「お引き取り頂きたい方がいますので、訪ねて参りました。」


「それが藤堂君と関わりがあると……、なら、貴女は島原から来た芸妓というわけですね?」


「はい、それでその方は今、どちらにいらっしゃるのですか?永倉という方がずっと待っていらっしゃるのですが……。」


「彼は今、謹慎中です。毎夜その永倉君と一緒に遊び歩いていたので、お灸を据えるために、部屋に閉じ込めています。そちらも、永倉君にいかような処置をされていますか?」


と、いうことは、藤堂はやはり永倉の言っていた通り、ちゃんと助けようと動いていたのだ。


そのため、あえて謹慎処分となったのだろう。


「……漬物桶に閉じ込めています。」


「そうですか、それは彼にとっては良いお灸になったことでしょう。」


「あの、どちらへ……?」


話しも終わらぬうちに、立ち上がる山南に尋ねる。


「永倉君を迎えに行くのです。これにこりて、少しは自重をしてくれるといいのですが……。案内をお願い出来ますか?」


「はい。」


白鳴の案内によって、山南達は永倉のいる島原へと出向く。






花街街道へたどり着いた時には、すでに花街の夜が始まっていた。まだ、人はまばらだが、明美との約束の時刻はとうに過ぎている。


これ以上遅れると、規則破りでまた迷惑をかけることになる。


だが、本当に仲間のことを思う者がいるのだと、そのことだけでも分かっただけいい。


「この先にあるのが、島原です。」


白鳴は山南達を連れて、街道を歩いていく。


「……ここです。」


島原の門の前へとやって来る。島原は遊郭の中でも有名で、他の遊郭とはまた違う作りとなっていた。


「……では、私はこれで。」


「ああ、お待ちなさい。……これを。」


山南は白鳴に金の入った袋を差し出す。


「わざわざ呼びに来て頂いた、せめてものお礼です。」