信じている者がいるということは、待っている者がいる、ということだ。早くその場所へ帰さなければならない。
今だったら、まだ夕刻までには時間がある。連絡を取りに行くとしたら今しかない。
「……分かったよ。【浪士組の屯所】は、川を渡った町外れにある、【壬生寺】だ。そこに行けば、誰かしらいるはずだから、俺がここにいると伝えてくれ。」
「分かりました。」
白鳴は踵を返して、浪士組の屯所へと向かった。
一方、先に明美の部屋へと、頼まれた品を届けに行った桜は、部屋の前で立ち止まる。
「明美姐さん、桜です。今、戻りました。」
「御入り。」
許可が出ると襖を開け、部屋の中へと入る。
「これ、頼まれていたお菓子です!」
「ありがとう…。あら、白鳴は?」
「なんか用があるとかで、何処かに行っていました。私は先に戻ってこれを明美姐さんに届けるように、と言われたので先に戻ってきました。」
「そう、ご苦労様…。」
そうは言うものの、明美の表情からは、それが伺えない。白鳴が戻ってこないのを気にしているのだ。
「なら私、白鳴を捜して来ますね。」
「……ありがとう。」
桜は白鳴を捜しに、表へと出た。
確か、裏庭へと行っていたはずだ。桜は白鳴がいるだろう裏庭へと向かった。
「白鳴、白鳴…!」
呼びかけて辺りを見回すが、白鳴の姿は何処にもない。
「何処に行ったんだろう…?」
辺りを捜しながらウロウロとしていると、大きな漬物桶が目に飛び込んで来る。
「きゃあ!」
無いものが茂みの中にあって、思わず驚いてしまう。
その声が永倉の耳にも届いてしまう。
「……誰かそこにいるのか?」
「きゃあっーーーー!!」
桶の中から人の声が聞こえ、悲鳴を上げながら桜は走って行ってしまう。
「な、なんなんだ、いったい……?」
よく見えない外の様子を伺いながら、永倉もその悲鳴には驚いていた。
桜はあわてふためきながら、明美のいる部屋へと飛び込む。
「……!」
「はぁはぁ…!」
「……いったい、どうしたのだ?!そんなに慌てて。」
息を切らせながら、畳みに膝をつく桜。見たところただ事ではなさそうだ。
「白鳴は?白鳴はどうしたの?」
「し、ししし……!」
「落ち着いて話しなさい…!」

