「じゃあ、またね。白鳴ちゃん。」
そう言って沖田は町行く人並の中に消えて行った。
それから、すれ違うようにして、息を切らせた桜がやって来る。
「白鳴ちゃーーん!」
「桜……。」
「はぁはぁ……!やっと見つけた!もう、捜したんだよ?」
「ごめん。」
「あれ?もう、お菓子買ったんだ。」
白鳴が持っていた包みを見て言う桜。
「うん。」
「なーんだ…。一緒に買いに行こうと思ったのに……。ねぇ、どんなお菓子を買ったのか、見せてよ!」
「だめ!」
「ええっーー!少しぐらい良いじゃん…。」
「帰ったら嫌でも見られる。だから、今は我慢して。じゃあ、帰るよ。」
「あっ!待ってよ…!」
二人は久しぶりの町を探索し、帰路に立った。
「あ、私少し用があるから、先にこれをもって、明美姐さんの所に戻っていて。」
「分かった。」
白鳴は買ってきた包みを桜に渡すと、勝手場へと向かう。
勝手場には来客者を記した《番台帳》がある。そこに予約客や来客者などを書き込み、それに合わせて食事の仕度をすることが義務付けられていた。
白鳴はその番台帳を開いて、留守中に訪ねて来た者はいないかを調べる。
「………はぁ…。やっぱり、いないか……。」
と、いうことはまだ、あの永倉が桶の中に閉じ込められている、ということだ。
相手があれだけ信じているのだ。なんとかして、友人に連絡を取りたいものだが……、来客の欄には記されていない。
やはり、信じるだけ無駄なのだろうか……?
ふと、帳面の隅に何かが書かれている。
「……【浪士組】、永倉新八………。【藤堂平助】呼び預かり……。」
と、いうことは……、その藤堂という者が永倉と一緒に来たという友人だ。
その者が分かれば、後は連絡するだけだ。
白鳴は急いで、永倉がいる裏庭へと向かった。
「……永倉さん、永倉さん…!」
桶を叩いて中にいる永倉に呼びかける。
「お前は……!」
「永倉さん!【浪士組】って、何処にあるんですか!?」
「は……?」
「私がその友人の人を呼びに行ってきます!」
「なっ…!そんなことをして、お前大丈夫なのかよ…!?」
「人の心配をしている場合ですか!とにかく、場所を教えて下さい!」
いつまでも大の男を、こんな場所に入れておくわけにはいかない。

