「どれを頼まれたのかな?干し菓子って一重に言っても、種類が沢山あるからね。」
沖田が目の前に並んでいるお菓子を一瞥する。
もしかしたら、沖田なら知っているかもしれない。
「……分かりません。」
「え……?」
「紙には…、《干し菓子》しか書かれていないんです……。」
沖田はしょげている白鳴と持っている紙を見る。本当に《干し菓子》としか書かれていないようだ。
「その頼んだ人は、偉い人なの?」
「……はい。」
「なら、これのことかな。」
沖田は白い包みに包まれているお菓子を手に取って差し出す。
「え……!」
「その人は君よりも偉い人なんでしょう?それなりに偉い人が食べるなら、これしかないと思ってね。」
「な、なんでそんなことが分かるのですか?」
「なんでって言われても………、僕もそれが好きだから……っていうのもあるんだけど、僕の知っている人もそれが好きなんだ、だからかな。」
「あ、ありがとう……ございます。」
白鳴はそれを受け取り、頼まれた数を買う。
「さあて、じゃあ何食べようか?」
「!」
そうであった。
沖田と今はお茶屋に二人で来ているのであった。
買い物の事ばかりに気を取られていて、そっちを忘れかけていた。
初めて男と一緒というのに、なんだか恥ずかしい気がする。
ふと、またある事を思い出す。
「あ……!」
自分、今日は買い出しのつもりで来ていたので、自分の財布を忘れてきていたのだ。
だが、いまさら忘れたなどと言えない……。
どうしたらいいのだろうか……。
これが店に来る客なら、媚びを売って奢らせば済む話しだが、今はそうはいかない。
困惑する白鳴。そこへ、沖田の声がかかる。
「君は何がいい?」
「え……?」
「ほら、遠慮してないで、早く選んで。」
遠慮……?
沖田は白鳴におごるつもりでいるようだ。
なんだかホッとしてしまう。
だが、ここは沖田の好意に甘えるしか方法がない。
「なら、沖田さんと同じものを、お願いします……。」
「そっかぁ……、なら、これにしようかな?君はこれで大丈夫?」
「はい。」
白鳴がそう返事をすると、沖田は嬉しそうにしながら、花見にも調度良い《三色団子》を、白鳴の分と一緒に買った。

