周りに目を向けるが、先へ行ってしまったのか、桜の姿が何処にもなかった。
「またこんな所で会えるなんて偶然だね。」
「………。」
偶然……。
あの時はまさか見られているとは思わなかった。ナンパだとも思ったけど、そんな感じが全然しなくなっていた。
むしろその逆……。
こんな気持ちは初めてだ。
「この場所が好きなの?」
「え……?」
「ほら、この前ここで踊ってたからさ…。」
「あ……。」
「あの時は、君の踊りに見取れてしまってさ……。いきなり、話しかけたりしてごめんね?」
「……いいえ、謝らないで下さい。私も逃げ出したりしてごめんなさい……。」
「よかったら、一緒に歩かない?」
「え……?」
「あ、もしかして警戒している?嫌なら、無理しなくてもいいんだけど……。」
辺りには知っている人はないない。桜もいない今なら、一緒に歩いても大丈夫だろう。
「……お願い……します。」
ややためらいながらも答える。沖田はそんな白鳴の姿を見て、クスリと微笑むのであった。
二人は並んで町を歩く。こんなふうに、男と歩くのは始めてだ。
なんだか、少し恥ずかしい気がする…。
「ここに入ろうか?」
一件のお店の前で沖田が立ち止まる。暖簾を見ると《三松屋》と書かれていた。
どうやら、お茶屋さんのようだ。
「あっ……!」
ふと、明美から頼まれ事をしていたことを思い出す。
「どうかしたの?」
白鳴は慌てて自分の袖から、渡されていた紙切れを取り出す。
そこには《三松屋》と書かれていて、安心する。
「……いいえ、なんでもありません。」
そう答えながら、紙切れを袖の中に直してしまう。
「もしかして、別の場所に買い物でもあるの?」
「大丈夫です。心配いりません。」
「そうなの…?なら、行こうか?」
「はい。」
白鳴は沖田について店の中へと入って行った。
中へ入ると、そこには沢山のお菓子が並んで置いてあった。どれも色鮮やかで、美味しそうなお菓子ばかりだ。
白鳴はもう一度紙切れを取り出して、頼まれた品を確認する。
「………!」
品を探して見てみると、それと同じ種類のお菓子が沢山あって、どれが頼まれた品なのか分かんなくなってしまう。
「……《干し菓子》を頼まれているの?」
「!」

