イオリの声にチラリと視線を動かして、ハクリュウはコクリュウの上から下りた。


苦し気に顔を歪めて激しく咳き込むコクリュウは、吸い込んでいたシリュウの媚薬の吐息をも、幸い一緒に吐き出した。


なんだか、モヤモヤとしていた視界や、ハッキリしなかった思考力が戻ってきた気がして、コクリュウは一つ頭を振ってみた。


そしてヨロヨロと体勢を整え、先ほどまで自分を押さえ込んでいた人物を認識すると、驚きの表情へと変わる。


「陛下・・・!?
ハクリュウ王陛下・・・で、いらっしゃいますか?
いや、しかし、陛下は・・・。」

「うるさい!
そんな事はどうでもよいわ!
コクリュウ、ヤヨイはどこぞ?」


今の荒療治で、シリュウの媚薬の吐息から解放されたコクリュウは、ハクリュウの激に、背中を伸ばし口を真一文字に結んだ。


「コクリュウ、答えよ!
我の妃をどこへ連れ去った!」


「陛下・・・。
本当に本物の陛下なのですね・・・。」


若干瞳が潤み、ハクリュウの質問の内容も耳に入らないほど、感激にうち震えるコクリュウ。