人間としてのこの4年の間に、豊かな感情を取り戻したハクリュウを、コウリュウは嫌いではなかったのだ。


以前なら、兄との会話は慎重に、ビクビクしながらであった。


機嫌を損ねることの無いように、お伺いをたてながら、業務内容を報告し、命令に従うのみだっのに。


「兄上。イオリを信じて待ちましょう。
兄上のお姿は、良くも悪くも、民たちに畏怖の念を与えます。」


「・・・・・。
心外だ・・・。」


ハクリュウは不貞腐れた様子で、だが再び、深紅のソファーに座り直した。


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その頃、やっとコクリュウの居所を突き止めたイオリは、二度と用がないと思っていた場所に、やって来ていた。


シリュウの屋敷である。


『フラフラと吸い込まれるかのように、シリュウの屋敷に入って行くコクリュウを見た』

との目撃情報を入手して、イオリは半信半疑、ここへ来たのだ。