「キュオォォォォン!」


甲高い緑龍のいななきが、白龍と黒龍を制した。


『コクリュウを責めないで、コクリュウは悪くない!
コクリュウは私を諦めさせようとしていたんだよ!』


『いいえリョク様、私が間違っていたのです。
例えリョク様を諦めさせるにしても、あのような手段を用いるべきではなかったのです。』


コクリュウは申し訳なさそうに思念を送った。そんなコクリュウにリョクは軽やかに返事を返す。


『ごめんねコクリュウ。
誰がなんと言おうと私、妃になる事を諦める気はないよ。
私ね、ずっと人間界ではエミやシキの言う事を聞いて、おしとやかにおとなしく暮らしてきたんだ。
自分のしたい事を言ったり、大声で笑ったり、お外で遊んだり、そういうのは今まで我慢してきたの。
コクリュウは私のわがままを聞いてくれた大切な人だから。
そんなコクリュウを私は好きだから。』


『リョク・・・!?
今・・・なんと・・・』


リョクが呟いた静かな決意をハクリュウは聞き逃さなかった。必要以上に過剰な反応を見せて、巨大な肢体をくねらせる。


『リョク様ご冗談はお慎み下さい!
ハクリュウ様!
これはリョク様の言葉の誤です。
本気になさってはいけません。』


白龍の白銀の鱗が更に輝きを増し、漆黒の瞳からは溢れんばかりの怪しい光が溢れていた。


『コクリュウもコクリュウぞ!!
そなたの首、胴体から切り離してくれるわ!』