稲妻の残留光が黒龍の体を覆い、所々でパチッパチッと火花を飛び散らせている。


『コクリュウ、大丈夫?』


緑龍は黒龍に思念を送り、僅かに頷く黒龍の姿を確認すると、父である白龍に体を向けた。


緑龍も勿論長大な肢体をしてはいるのだが、その大きさは黒龍や白龍の比ではない。本人は至って真面目に黒龍を庇うため立ちはだかっているつもりなのであろうが、守る方と守られる方に鮒と鯉ほどの違いがあっては、白龍に失笑されるのも仕方のないことだった。


『さあリョク、こちらへおいで。
コクリュウには罰を与えないといけないからね。』


『罰?
コクリュウがどんな罪を犯したというの?』


『はは・・・。
お前をその姿に変幻させた大罪さ。
リョクは龍になんかならなくていい。
人間の姿のまま、人間界で幸せに暮らすんだ。
さあ、父様の所へおいで。』


『・・・。』


緑龍はその場から動こうとしない。


『リョク、来なさい。』