「ちょ・・・ちょっと待て・・・。」


2・3歩足がもつれたハクリュウは何とか体制を立て直し、徐に額に手を当てた。


「何がどうなれば・・・リョクの口からこんな言葉が飛び出すんだ?
俺の聞き間違いか?
そうだ。きっとそうだ。
なぁヤヨイ、今リョクは何て言った?」


あまりの動揺に、ハクリュウは素の自分に戻ってしまっている。多分それには全く気づいていないのだろう、ハクリュウはいつも通りにヤヨイに話しかけた。


「な?な?ヤヨイ・・・。
リョクがさ、こんな事をさ、言うわけないよな?」


両手をヤヨイの肩に置いて否定してくれと言わんばかりに返事を待つハクリュウ。そんなハクリュウに、ヤヨイはニコッと笑って答えた。


「残念だけどハクリュウ。
リョクは間違いなく『コクリュウの妻には、私がなる!』って言ったよ。」


一瞬、呼吸が止まったのではないかと思うほど、ハクリュウは蒼白になり・・・。


「何でだ?
ヤヨイ、何でだ?
って言うか、リョク、何でだ?
意味が分からない。
なんでお前がそんなことを言うんだ?」