怪しい光を含んだ瞳で、キリュウはコクリュウを誘う。


「なぁコクリュウ。
俺達の手で、真実を暴かないか?
そして、コウリュウ様を竜王から引きずり落とすんだ。
本来なら、持っている能力のナンバー2はコクリュウだったんだぞ。
王弟なら、なんだって許されるのか?」


「・・・・・・。」


「人間界へ降りて、巫女を連れて来いよ。
寵姫を人質にして、真実を聞き出すんだ。」


「人間を巻き込むのか?」


「陛下は、頭のいいお方だ。
弱味は握っておきたい。」


「・・・。シリュウも同じ考えなのか?」


「あたくし、あの人間の小娘も嫌いよ。
まるでコハクを見てるみたい。琥珀色の瞳を見ると、イライラするの!
コウリュウ様と、2人まとめて・・・。」


「シリュウ!」


キリュウは慌ててシリュウの言葉を遮った。


「すまん。俺にはまだ、よく理解できない。
もう少し、考えさせてくれないか。」


「もう、コクリュウったら。
何を悠長な事、言っているのよ。
善は急げよ。」


シリュウはコクリュウの頭を自分の豊満な胸に、もたれ掛からせ軽く抱き締めると、フゥ…っと、静かに息を吹き掛けた。


僅かな目眩がコクリュウを襲い、甘い香りが鼻をくすぐる。