キリュウは、そんなたじろいだコクリュウの心情を見逃さなかった。


だめ押しの言葉を、コクリュウの耳元で囁く。


「陛下の今お持ちの“あの”龍の能力。
あれ、ハクリュウ王のモノだよな?
お前なら、分かるだろう?
ずっと近くでハクリュウ王に仕えていた、お前なら。」


「・・・・・っ!?」


「ハクリュウ王から奪ったとしか、考えられない。
ハクリュウ王に次ぐ能力の持ち主だったお前を、陛下は今、軽く超えている。」


「キリュウ、貴様!」


「寝首を欠いたんだよ・・・。
ハクリュウ王は、正面から立ち向かって、敵う相手じゃないからな。」


「何て事を!
口を慎め、キリュウ!」


「コクリュウ、お前は悔しくないのか?
敬愛していたハクリュウ王を殺されて。
奪った能力でコウリュウ様は、のうのうと竜王の椅子に座っているのだぞ。
その上、ハクリュウ王の寵姫までも、その手に入れようと企む始末。」


真面目を絵に描いたようなコクリュウを、手玉に取るのは簡単だった。


キリュウは巧みにコクリュウの心を読んで、自分の意のままに操る事に、ほぼ成功していた。