ハクリュウは申し訳なさ気に、言葉なくヤヨイを見る。


「･･･。」


ヤヨイは分かったと言わんばかりの、朗らかな笑みをハクリュウに向けてから、コウリュウに視線を移して、ペコっとお辞儀をした。


「コウリュウさん。
迷惑かけてごめんなさい。
いろいろ心配してくれて、ありがとう。」


その言葉を聞いて、安心したようにコウリュウは、小さく口元に笑みを浮かべた。


「あんまりここに長居しては、リョクが可哀想ですからね。
早々に片を付けて、人間界に戻って下さい。
と、いう事でコクリュウ、お前の仕事はもう少し先だ。」


そう言い残し、コウリュウはさっさとハクリュウの部屋を後にしたのだった。


床の上にひざま付いているコクリュウは、呆然とコウリュウの後姿を見送るしかない。


「ま･･･そういうことだ。」


照れくさそうにハクリュウは呟いて、コクリュウに部屋を出るように促すと、椅子から立ち上がり、伸びをしながら奥の部屋へと消えてしまった。