「いえ、今の兄上を責めているのではありません。
微力ながらお二人の事は、私も応援しているんです。」


そこまで言うとコウリュウは、きりっと表情を引き締める。


「ですが・・・。
それとこれとは別物です。
天界が落ち着くまで兄上には、ここにお留まりいただきますよ。
お姿を見られたのが、兄上の意志ではないとしても、ご本人から説明していただかなくては、収集がつきません。
ウソつき者の私が、今更何を言っても、住人達は納得しないでしょうからね。
この意味が、お分かりですか?
嫌だなんて、言わせませんよ。」


ハクリュウは、人間界へ行く前に、イオリに言われた言葉を思い出した。


『コウリュウ様の今後にも、関わりますので・・・。』


あの時、自分を人間界に行かせてくれるために、コウリュウがついてくれた‘竜王崩御’のウソが、こんな形でばれてしまうだなんて、想像もしなかったハクリュウ。


コウリュウの辛辣とも取れる今の言葉を、拒否できるはずがなかった。