懐かしい…


この空気感も、土の匂いも、そして、耳に響く生徒の声も…





まだ教室のあちらこちらから、灯りがもれてくる。




こんな時間だもの。
もう帰っていないわよね。







山下が坂を登りきると、校門の前に、見覚えのある華奢な後ろ姿があった。






「…ミハル?」




まさかね…
ミハルはもう、
この街には
いないはず…





見覚えのある少し低音の声に、振りかえると




そこには、彼が呆然と立っていた。