授業が終わり、私の足は、あの人の待つ、体育館のあの部屋に向かう。



ここはやっぱり埃くさい。むせかえす、汗のなんともいえない匂いが鼻を刺激する。



でも、ここが私と先生との秘密の部屋。



「早崎さん、お待たせ〜
会議が長引いちゃってね。」



「先生、私も今きたとこやし。」



「早崎さん、今日はね、何もしないよ…ってか、できないかな…。」



「先生、どうしたん?いつもの先生と違う。」



「僕だって、そんな日もあるさ。」



そういいながら、あかねの肩に山下は頬をあわせる。


「ねぇ、先生、なんか変?」



「僕はね、屋上に点検にあがるたびに、あの日の君がまだ、そこにいるようで、怖くなるんだ。
君のことが心配で仕方ないよ。」