「藤さん、おっはよっ。」


校門の前で一美は、ずっと藤が来るのを待っていた。


「あっ…。」



一美を避けるように、藤は歩き出す。



「よかったぁ。藤さん、学校来てくれて。」



一美と藤は同じクラスにもかかわらず、今まで接点がなく、あまり話をしたことがなかった。



一美グループはいつも華やかで、藤は、いつも一人でいるタイプ。




「ねぇ、藤さん、先生が好きなら、気持ちを伝えたら?ダメもとで、いいやん。そうやって、爆発させるんやったら、あたってくだけたほうが、いいやん。」




「……」




「私が、そばにおるから、一緒にいこっ。」



「…一美さん」




「一美でええよ。」



藤は大きく頷き、一美を見上げる。



「じゃあ、後でねっ。」