空から舞い降りた天使

藤のナイフを持つ手が、震えだし、あかねに振りかざす。



「キャ―ッ」



あかねは、声を振り絞り、叫んだ。




「なに、やってんねん。」


あかねは、その場に倒れこみ、コンクリートに両手をつく。




隼人が駆け寄り、あかねを抱き締める。



「あかね、あかね、大丈夫か?」




あかねは全身の力が抜け、隼人によりかかる。




「藤、おまえ、なにやっとうねん。」




藤は、虚ろな目で、その場にへたりこみ、泣き叫ぶ。


「ナイフ、かせや。」



ナイフを隼人に渡す。




和樹と一美も慌てて、あかねに駆け寄る。



「あかね、怖かったね。あかね、大丈夫?」




「藤、おまえは、もう帰れ。今日の事は誰にもいわへん。
な、ええな、和樹、一美も。」




「うん。」



「藤さん、下まで、一緒にいこっ。」



一美が藤に声をかける。




藤は号泣しながら、和樹と一美に両手を引かれ、下に降りていく。