「次、声小さい人いたら、練習メニュー三倍にしますね」 私の言葉に、部員の顔が青ざめる。 「ま、待て!早まるな!」 「大丈夫ですよ。皆が一生懸命練習して、大きな声出せばいつも通りですから」 私はさらっと答えた。 「今、条件一個増えなかったか?」 「気のせいです」 「気のせいで処理するな!」 「…三倍いっときます?」 私はそっと聞いた。 主将の顔が変わる。 「やります、いつも通りの練習やります!」 「じゃあ、始めますよー」 こうして、地獄の合宿は始まった――。