彼女の指が俺の背中に触れる。


そのまま横に動いて、上から下へ。
滑るように文字を綴っているようだ。


集中してその文字たちを読み取っていくと…



ーーあ、り、が、と、う。



そのたった5文字に目頭が熱くなる。



ーーふ、ゆ、き、と…



ゆっくり、わかりやすく文字を書いていく相沢の指圧に神経を研ぎらせる。
少しだけ、背中がこそばゆい。
ふたりきりの図書室は夕日に照らされて、カーテンがゆらり揺れていた。


振り返って今すぐ相沢をめちゃくちゃに抱きしめたい。


君の存在が、すごく愛おしい。

君の存在が、すごく嬉しい。



ーーで、あ、え、て、よ、か、っ、た。



そう、言ってくれただけで
この世の言葉では表現できないぐらい
……嬉しかった。


俺も、相沢に出会えて、
この気持ちを知れて、ほんとよかった。


ありがとう。