再びノートにしがみつく。


相沢の言葉もかなり聞き逃さなくなったと思う。


前にもう二度と相沢の言葉を聞き逃したくないと決意した日から、心がけてはいるものの、やはり口パクだと少し聞き取れない時もあって。


相沢の悲しい顔は見たくないからな。



「…………」



黙々と勉強してるつもりでも、やはりどこか相沢の居る右上の方が気になる。


シーンとした図書室独特の雰囲気も重なってかなり緊張してる。


ーーツンツン。


不意に相沢の小さな白い手が伸びて来て、俺の右手に人差し指が触れた。


……ドキンッ。



『これ』



恥ずかしそうに差し出したのは一冊の本。


これもしかして…



「前にオススメあったら教えてって言ったやつ?」


『うん』