『……?』
なんのことかわからずに不思議そうに首をかしげた相沢。
キョトンとしたその間抜けな表情が、また俺の胸を締めつけた。
「ここに書いてよ。話そう、いっぱい」
話そう、たくさん。
そうしたらきっと壁もなくなる。
ーー俺は
相沢との間にある壁を壊したいんだ。
「そうだな〜。まずは好きな食べ物でも教えてもらおうかな?」
そう言うと相沢は俺の手にゆっくり「あまいもの」と、一文字ずつ書いた。
……すこし、くすぐったい。
けれど触れた指先から相沢の体温が流れて来るように、心地よい緊張感が身体に流れだす。
相沢の言葉は俺の手が心が受け取る。
……俺が。
「甘いものか。俺は肉だな」
彼女が静かに爆笑する。



