遠くから微かにバスケットボールをつく音と、シューズがスレる音。
それらの音以外授業中だから聞こえない。
俺らだけ、どこか違う世界にいるような感覚。
本当にそうだったらいいのに。
「いいな、こうゆうの……」
口を開くと相沢がビックリしたように肩を揺らした。
たぶん、まだ俺のこと警戒しているんだと思う。
それでも俺は相沢とサボれてうれしいけどな。
相沢といるから。
相沢がいるから。
きっとこんなことも嬉しいんだ。
「相沢ってなにが好きなの?」
『…………』
聞いてから気がついた。
そういえばノートないんだ……。
困ったような顔をしている相沢に、ピンとひらめいた俺は手のひらを相沢に向ける。



